History
Evangelism Explosion(以下「EE」)は、1962年にアメリカ合衆国フロリダ州フォートローダーデールのコーラル・リッジ長老教会において、D・ジェームズ・ケネディー博士の働きによって生まれました。このプログラムは、福音を信じたすべてのクリスチャンが、その信仰を他者に分かち合うよう訓練されるべきであるという聖書的信念に則って、生み出されたものです。
ケネディー博士の証しによると、彼の牧会生活の初期は決して順調なものではありませんでした。コーラル・リッジ教会に着任した当初、出席者はわずか17人。あらゆる手段を講じて成長を図ったものの、出席者は減少の一途をたどり、博士自身が「あと2ヶ月半で妻一人になる」と冗談交じりに語るほど深刻な状況に陥っていました。そのような中、彼の友人であるケネディー・スマート牧師が、ジョージア州スコッツデールで行われる伝道集会に彼を誘ったことが転機となります。

ケネディ牧師
当初、失意のどん底にあったケネディー博士は、自ら伝道することに恐れや不安を覚えていましたが、スマート師の伝道に同行することで「個人伝道の力」を目の当たりにします。スマート師が一軒一軒家庭を訪ね、祈りとともに福音を分かち合い、主に人々が導かれる様子を見ながら、ケネディー博士の中に新しい確信が芽生えました。結果として10日間で54人がキリストを信じるに至ったこの体験は、彼の人生とミニストリーを一変させることになりました。
この経験を持ち帰った彼は、学んだ福音のアウトラインを紙に書き、それを暗唱できるように覚え、個人伝道を始めました。しばらくは試行錯誤が続きましたが、やがて一人、二人と回心する者が起こされ始めたのです。歴史的な転換が起きたのは、ケネディー博士が、「これならば、信徒たちにも出来る」と思いついたことです。彼は、そのための訓練カリキュラムを作り、実際に伝道の現場に信徒たちを連れて行き、「やって見せて、やらせる」という「実地訓練」(On-the-job training)」を導入しました。これは、信徒たちが、実際に信仰を行動に移し、自らの口で救いのメッセージを伝えるという、初代教会の使命を回復するものでした。
この働きは急速に実を結び、教会は12年で17名から2000名へと急成長しました。1967年には、コーラル・リッジ長老教会が「全米で最も急成長した教会」として注目されました。この成功を受け、1972年にはEvangelism Explosionが正式に独立した団体として法人化され、専任スタッフと理事会が設けられました。以後、この訓練プログラムは全米各地の教会に導入されていきました。
EEは、その後世界各国へと拡大していきます。1970年代後半から1980年代にかけては、アジア、アフリカ、中南米、ヨーロッパなどで訓練クリニックが盛んに行われ、1984年には海外での開催数がアメリカ国内を上回るようになりました。教材は70以上の言語に翻訳され、各国の文化や言語に応じたカスタマイズが行われつつも、「すべての人に福音を届ける」という基本方針は一貫して守られています。
1996年には、「全世界にEEを開拓する(EE Planted in Every Nation)」というビジョンが掲げられ、EEは戦略的にすべての国において訓練を開始する方向に舵を切ります。多くの国々で指導者育成が進められ、地域に根差した「土着化されたミニストリー(indigenous ministry)」の確立が目指されました。特にアフリカやアジアでは、EEを通じて多くの信徒伝道者と献身者が起こされ、教会の増殖や開拓が活発になりました。
21世紀に入り、EEはデジタル社会にも対応した形で変化を遂げています。従来の対面型訓練に加え、Eラーニング、動画教材、Zoom等を活用したオンライン訓練が導入され、パンデミック中にも福音の前進が止まることはありませんでした。また、専門的なニーズにも応える形で、子ども向けの「Hope for Kids」、ユース向けの「XEE」など、多彩なプログラムが用意されています。
EEが目指すのは単に数教会が成長することではなく、全教会、全クリスチャンによる、「大宣教命令(マタイ28:18-20)」の忠実な履行です。神の国を地の果てまで拡げるという主イエスの召しに応えるため、EEは「魂の勝ち取り」(Soul Winning)と同時進行的に、「魂を勝ち取れる者」(Soul Winners)を育成・増殖する「実地訓練」(OJT)を全面的に採用します。伝道を特別な人の務めと限定せず、すべての信徒に託された使命と理解することは、今日の教会において極めて重要なことです。
現在、EEは160カ国以上で活動を展開しており、数十万人の信徒が訓練を受けて現場に送り出されています。多くの地域で指導者が育ち、現地の言葉と文化で福音が語られ、弟子が新たな弟子を生み出すという「霊的な再生産(Spiritual Multiplication)」が目に見えるかたちで実現されています。
Evangelism Explosionは、今も変わることなく「すべての国に、すべての人に、福音を届ける」ことを使命とし、全世界の教会と協力しながら主の御国の拡大のために歩み続けています。
EE Japanの歴史
1970年代
故尾山令仁牧師(東京聖書キリスト教会)が米国フロリダ州フォートラダデール長老教会の急成長を聞き、その秘訣とされるEvangelism Explosionを学ぶために現地に赴く。
1972年
EEを紹介する『爆発する伝道』がいのちのことば社から出版される。
1980年代
故羽鳥明牧師(PBA太平洋放送教会)の呼びかけで、現総動員伝道代表姫井雅夫牧師の引率の元、多くの日本人牧師がEEを学びに米国に赴く。
故土屋順一牧師(東京カベナント教会)をナショナルディレクターとして理事会が発足。教材やトラクトが翻訳される。EE本部から、故トム・ステビン牧師が来日し、紹介セミナーが持たれる。以後約10年に渡って日本にEEが紹介されるが、期待されたような伝道効果には至らなかった。故土屋順一牧師曰く、OJTのためのアポイントメント作りが最も難しかった。理事会も、メンバーの病気、転居、昇天などを理由に自然閉会となった。
2007年
9月、EEの創設者であるD. James Kennedy牧師が昇天。訃報をきっかけに、当時横浜で牧会をしていた山中知義牧師がEEの導入を検討。しかし日本にけるEEは活動停止状態で、教材も入手不可と知る。
2008年
EEアジア代表トーマス・マングハム牧師が来日。日本におけるEEの再起動を目指し、山中と三日間共に祈る。同年10月にEE紹介用教材『個人伝道ワークショップ』の翻訳を完了。マングハム牧師再来日。第一回目のワークショップを横浜で開く。これを機に、EEの主力教材である『13週クリニック』の翻訳を開始。
2009年
同年春、第1回目の「EE13週クリニック」が横浜で開催。わずか3ヶ月で18名の信仰決心者と4名の受洗者が起こされる。福音を伝えることを学んだ信徒たちも劇的に変化。この受講者たちの中から2名が、そしてこの期間中に救われた一人が、後に献身し神学校に入られた。
2011年
8ヶ月の大阪勤務を経て、山中知義牧師は京都での新教会開拓に取り掛かる。開所から1ヶ月後、2名の信徒と共にEEの学び会を開始。最初のOJTで一人のビジネスマンが回心。彼は、その後わずか半年で、その両親を救いへと導き、数年後弟も救いへと導いた。彼は後に献身し、生駒聖書学院で学び、副牧師として十年仕えた。
2012年
故濱本聖一牧師(枚方グレースチャペル)のEE受講はEE Japanの歴史に大きな記憶となった。がんの末期である身をおして学びに来られた濱本牧師は、最後の力を振り絞るようにして個人伝道に励まれた。何度目かのOJTで一人の求道者が信仰決心をされたとき、濱本牧師は感極まって声をあげて泣き崩れられた。「もう一人の魂を!」という濱本牧師の切なる祈りが答えられた瞬間だった。この時からEEとは、ある意味、「牧師を救う」働きでもあるとの認識を持つようになった。
2013年
第二回EE国際会議が南アフリカのケープタウンで開催され、62カ国からEE代表者が集結した。会議では2012年度、EEの働きを通して約790万人が信仰告白に導かれたことが報告された。特にアフリカ、中国、インドネシアでは凄まじい勢いで魂がイエス様の元に引き寄せられている。
2015年
東京と大阪で牧師/献身者対象の「EEリーダーシップクリニック」(指導者講習会)が開催される。それぞれ5日間かけて学ぶ集中講義だったが、牧師とは言え、個人伝道を5日間でマスターすることは困難に思われた。以後このクリニックは封印され、代替案として牧師対象の「オンラインコース」を開講。通学する必要がなくなったため、牧師たちにも13週間じっくり時間をかけて学んでもらうことが出来た。

但しオンラインコースでは実地訓練(OJT)が乏しくなるため、学期終了後に、指導者が受講者たちの牧会地に赴き、直接OJTを引導する方法を取った。この代替案の効果は、特に日本長老教会おゆみ野キリスト教会の出立哲也牧師のケースが証明した。出立牧師は、EE受講後、地道にEEを指導され、素晴らしい成果を上げている。2018年クリスマスの受洗者五名は、全員EE訓練を受けた信徒たちの伝道の実だったという。
2016年

2016年8月22日からインドネシアのマランで、第三回EE国際会議が10日間開催された。前回よりも24カ国も多い、86ヶ国からEE代表者が集まり、イエスキリストの大宣教命令の達成のために、ビジョンと戦略を新たにした。教勢報告として、2015年の一年間で、EEを通して信仰告白へと導かれた魂は、1000万人以上と報告された。
2019年

これまで個人、個教会としてEEを導入するケースばかりだったが、2018年に、日本メノナイトブラザレン教団の伝道部長から、EEの導入を検討したいという要望があった。2019年2月、伝道部長を始め、二名の所属牧師が「リーダーシップクリニック」を修了し指導者ライセンスを受けた。
EEの効果を体験した三名は、以後所属教団へのEE導入に向けて尽力することを決意。教団レベルでのEE導入は初めて。全国波及への大きなステップとなることが期待される。
同年2月26日、EE Japanの理事会が、メンバーを新たに京都で再開。
2020年
新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの拡大。世界中でロックダウンや外出制限が行われ、EEの活動も大きく制限された。しかしこれは好機でもあった。これを機に、Zoomを用いたオンラインクラスが活発になる。これ以降、EE Japan主催の、「13週クリニック」、「リーダーシップクリニック」はすべてオンラインで行うこととなり、全国各地から受講者が起こされるようになった。
2022年
ロシアによるウクライナ侵攻が勃発。(2月24日)この戦争によって、連鎖現象的に、世界各地で国家間の緊張が強くなる。そして「世界の未来は予測不可能である」という現実が一層明らかとなり、「今」福音を伝えることの重要性が確認された。
2023年
第五回EE国際会議(The 5th Congress of Nations)が開催された。パンデミックの影響で生じた渡航制限を考慮して、世界の4箇所(ドミニカ共和国、ヘルシンキ、マレーシア、ケニア)に会場が分散された。そこで報告された2022年度のEEの教勢は以下の通りであった。
- 現在214カ国で活動中
- 世界の64,875教会がEEを導入中
- 1,038,000人の成人がEE訓練を受講
- 807,900人の子どもが訓練を受講
- 2,128のEEイベントが実施された
- 2,080万人がキリストへの信仰を告白
2024年
EE Japan代表の山中知義牧師が、12月最終聖日での奉仕を持って京都インターナショナルチャーチの主任牧師席を引退。以後、EE Japanの普及と指導に専念する。