はじめに:ソレンセン師『Well Done』の翻訳から
EE国際本部総裁ジョン・ソレンセン師の著書(原題 Well Done: Christian Doctrine of Works)を翻訳する作業をしています。
この本の内容は、かなり「厳しい」と感じるかもしれません。しかし書かれていることは、すべて聖書そのものです。「信じるだけで救われる」、そして「永遠に守られる」という真理がある一方で、聖書は最後にふるい分けがあるとも語っています。麦と毒麦、羊と山羊が分けられるのです。誰が最後に「よくやった!」と主に呼んでいただけるのか。誰が「私から離れて行け」と言われてしまうのか。そういうテーマを扱っています。
養育か?飼育か?―教会が直面する問い
福音の第一声である個人伝道の現場では、救いの恵みの強調がなされます。しかし新生児が放置されれば必ず死ぬように、回心者の教会(コミュニティー)定着と養育は絶対に不可欠です。ですからEEの働きは、地域教会とのパートナーシップなしにはほとんど意味をなしません。だから理事、評議員、既受講生の皆様とのつながりはEE Japanにとっては生命線なのです。
とはいえ、すべての教会が新信者や回心者を養育できる状態にあるわけではありません。回心者も受洗者も長年起こされていない教会が、いきなり誰をどのように養育するのでしょうか。養育対象者が「いない」という課題、また信徒はいるが「養育されたくない、このままがいい」と変化を拒絶する課題もあります。」後者の場合であれば、その教会はもはや「養育の場」ではなく「飼育の場」となっているということです。神様はなぜ生まれたばかりの、或いは生まれそうになっている大切な霊的赤子を、そんな群れに送りたいと思われるでしょうか。
EEが教える再生産の法則
養育とは、もう一人の自分(証し人)を生み出す働きです。実際、養育という作業を試みながら、自分とは似ても似つかない者を育てようとすることはできません。そして「もう一人の自分」とは、キリストの弟子であり、ある意味では「もう一人のイエス様」とも言える存在です。弟子は「ミニ・ジーザス」、あるいは「インカーネーション(具現化されたキリスト)」とも呼ばれます。イエス様は勇ましい「ユダのライオン」なのであり、惨めで不潔な家畜ではありません。けれども現実として、世界中の教会が、そのように二分、三分しているのです。その原因に中に、養育者のコンディションがあることは否めません。
だからEEのクラスでは、このように教えられます。
「あなたは自分自身に似た者だけを増殖していくのです。あなたが結ぶ再生産の質(Quality)は、あなた自身の霊的生活の質に比例します。あなたが結ぶ増殖の量(Quantity)は、あなたの伝道と再生産への情熱に比例します。」(p.109)
実際、新信者が福音をよく理解し、自らの救いを確信しているならば、できるだけ早い内に伝道の現場に同伴させることが望ましい――これがEEの理解です。新信者はまだ「熱心さの平均温度」を知りません。ですから伝道を、恵みにより、タダで救われた以上当然の行為と考えます。30年伝道してこなかった信徒からすれば、その姿は驚異的に「熱心」と映るでしょう。しかし本人は意外と涼しい顔でそれをやります。
日本の教会が抱える現実と課題
でももし、30年と言わなくても、牧師や役員がこれまでほとんど個人伝道をしてこなかった場合、どうなってしまうでしょう。それでも養育をしていると言うならば、その人が語る「弟子養育」とは、果たして何を目的としたものなのでしょう。
ソレンセン師の著書の直接の言葉ではありませんが、翻訳作業をしながら、繰り返し迫って来る言葉があります。それは…
「これは養育なのか?それとも飼育なのか?」いう言葉です。
これはEE Japan自身に突きつけられている問いであり、同時に私も協力牧師として関わっている教会にも突きつけられている問いです。
EE Japanの使命とオンラインクラス
EE Japanは、日本の教会の中から、また教会を通して「信徒伝道者」が発掘され、育成され、増殖していくことを補佐するために存在しています。そのために、教会の指導者たちが救霊の情熱を再燃させ、現場で通用する有効なスキルを身につけ、徒労感ではなく救霊の実を見て歓喜する(これが「増殖の火種」です)ところまでお供する所存です。
そしてそこで「さようなら」ではなく、個人伝道が自由に出来るようになった受講生には、今度は自身が、他の信徒、役員、牧師仲間に、その訓練を提供することをお手伝いします。つまり受講者には、魂を勝ち取る(Soul Winning)という行動を続けながら、同時に今度は魂を勝ち取れる者(Soul Winner)を育成することを指導するのです。法則は単純です。「やって見せて、やらせる」の繰り返しです。
もし教会開拓の現場で、忍耐強く、たとえゆっくりにでも、これを絶やさずに続けてゆくならば、10年後、驚くような結果を見ることになるでしょう。その教会は「信徒伝道者の共同体」へと成長していくのです。
ここ数十年、日本にはさまざまな「波」がやって来ました。熱心な先生方は謙虚にそれらを学びに行かれました。役立ったものもあれば、徒労感だけが残ったものもあったでしょう。「今さらEEのような『原始的』な方法を学ぶ余力はない」という声も耳にします。
しかしEE Japanは、この20年間で教材を大幅に改良し、フィールドテストを重ね、その都度微調整を加えてきました。今も受講生たちの声を拾いつつ改良を続けています。その訓練の効果については、ぜひ受講者たちの証しをお読みください。そして皆さんも受講を検討してみてください。
まとめ:福音を効果的に伝えるには?
EE Japan本部では、年に二度(3月と9月)オンラインクラスを開講しています。覚えることも多く、現場訓練も含まれています。(EEではトラクトを使いません。すべて暗記します。)しかし一度習得すれば、そして「やって見せて、やらせる」のやって見せる側に立つならば、特に牧師、伝道師、教会開拓者の方々は、生涯にわたり「いつでも・どこでも・誰にでも」福音を効果的に伝えることのできる武器を手に持つことになるでしょう。
皆様のご受講を心よりお待ちしております。